●退職金は退職時の階級・俸給・勤続年数を元に計算します
自衛官が定年退職すると、退職金と若年給付金が支給されます。合計で3,000万円程度と言われていますが、「一体自分はいくらもらえるのか?」興味がおありだと思います。それ程難しい計算式ではありませんので、これを機に是非ご自身の手で計算をしてみて下さい。
なお、残念なことに2013年に行われた法律改正により、数年前に退職をされた方よりもかなり金額が減っています(それでもまだ民間より高いと言う批判がある程ですが、自衛隊の方の職責の重さを考えると決して高くは無いと思います)。 |
■自衛官の退職金額について
自衛官が退職した場合の退職金は、退職時の階級・俸給・勤続年数が分かれば、簡単に計算することが出来ます。具体的な計算方法は下記の通りです。
<定年退職金> ①と②の合計額が支給されます。
①基本額=退職時の俸給(基本給)×勤続年数に応じた支給率
②調整額=階級に応じた調整月額×60ヶ月(上限)
※調整額は、勤続25年以上かつ1曹以上で退職した人にのみ支給されます。
※調整額は、退職した時の階級に応じて異なります。
例えば、勤続35年の1曹の方(俸給400,100円とします)が定年退職した場合、下記の通りになります。なお、皆さんの現在の俸給は給与明細で確認することが出来ます(自己都合退職金を知りたい方は、自己都合欄の金額を見れば計算できます)。
①退職金=400,100円×47.709=1,908万8,370円 (表1参照)
②調整額= 21,700円×60ヶ月= 130万2,000円 (表2参照)
⇒ ①+②の2,039万0,370円が退職金として支給されます。
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(表1)国家公務員退職手当早見表
①400,100円(退職時の俸給)×47.709
=1,908万8,370円 |
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勤続
年数 |
自己都合退職
(依願退職) |
定年退職 |
1 |
0.5022 |
0.837 |
2 |
1.0044 |
1.674 |
3 |
1.5066 |
2.511 |
4 |
2.0088 |
3.348 |
5 |
2.511 |
4.185 |
6 |
3.0132 |
5.022 |
7 |
3.5154 |
5.859 |
8 |
4.0176 |
6.696 |
9 |
4.5198 |
7.533 |
10 |
5.022 |
8.37 |
11 |
7.43256 |
11.613375 |
12 |
8.16912 |
12.76425 |
13 |
8.90568 |
13.915125 |
14 |
9.64224 |
15.066 |
15 |
10.3788 |
16.216875 |
16 |
12.88143 |
17.890875 |
17 |
14.08671 |
19.564875 |
18 |
15.29199 |
21.238875 |
19 |
16.49727 |
22.912875 |
20 |
19.6695 |
24.586875 |
21 |
21.3435 |
26.260875 |
22 |
23.0175 |
27.934875 |
23 |
24.6915 |
29.608875 |
24 |
26.3655 |
31.282875 |
25 |
28.0395 |
33.27075 |
|
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勤続
年数 |
自己都合退職
(依願退職) |
定年退職 |
26 |
29.3787 |
34.77735 |
27 |
30.7179 |
36.28395 |
28 |
32.0571 |
37.79055 |
29 |
33.3963 |
39.29715 |
30 |
34.7355 |
40.80375 |
31 |
35.7399 |
42.31035 |
32 |
36.7443 |
43.81695 |
33 |
37.7487 |
45.32355 |
34 |
38.7531 |
46.83015 |
35 |
39.7575 |
47.709 |
36 |
40.7619 |
47.709 |
37 |
41.7663 |
47.709 |
38 |
42.7707 |
47.709 |
39 |
43.7751 |
47.709 |
40 |
44.7795 |
47.709 |
41 |
45.7839 |
47.709 |
42 |
46.7883 |
47.709 |
43 |
47.709 |
47.709 |
44 |
47.709 |
47.709 |
45 |
47.709 |
47.709 |
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※上記の表は、自己都合退職・定年退職部分を抜粋・加工したものです。正式な表はこちらです。
※任満金(任期満了退職金)を受取っている場合は、それに該当する勤務年数が差引かれます。 |
(表2)調整額について
②調整額=21,700円×60ヶ月
=130万2,000円 |
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第1号区分 |
将(6号俸以上) |
95,400円 |
第2号区分 |
将(5号俸以下)、将補(一) |
78,750円 |
第3号区分 |
将補(二)のうち内閣総理大臣が定める者 |
70,400円 |
第4号区分 |
上記以外の将補(二)、1佐(一) |
65,000円 |
第5号区分 |
1佐(二) |
59,550円 |
第6号区分 |
1佐(三) |
54,150円 |
第7号区分 |
2佐 |
43,350円 |
第8号区分 |
3佐 |
32,500円 |
第9号区分 |
1尉 |
27,100円 |
第10号区分 |
2尉~1曹(勤続25年以上) |
21,700円 |
※2曹以下は調整額はありません。
※勤続期間が9年以下の自己都合退職者については、調整額はありません。
※勤続期間が4年以下の退職者、勤続10年以上24年以下の自己都合退職者は上表の1/2となります。 |
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これに加えて…
<若年給付金>
定年退職時には上記に加えて若年給付金が支払われます。
若年給付金は、正式名称を「若年定年退職者給付金」と言い、自衛官として20年以上勤続した後に定年退職した人、又は定年以前1年以内に勧奨などによって退職した人に対し、2度にわたって一時金を支給されるものです。
支給額は退官時の階級によって異なりますが、およそ1,000万円前後が2回に分けて支給されるケースが一般的です。
退職時の受取金は合計で約3,000万円になりますが、若年調整金については、退職金としてとらえない方が良いと思います。この給付金の元々の趣旨が、一般企業であれば60歳まで勤められるところ、1曹の方であれば54歳で定年退職となることを考慮し、その後60歳までの収入減を補う目的で支給されるものだからです。
1,000万円という金額は決して小さくはありませんが、60歳までの6年間(72ヶ月)で割ると月13.8万円、年金が支給される65歳までの11年間(132ヶ月)で割ると7.5万円にしかなりません。
老後の資金として当てにするには、心もとない金額です。そうなると実際の老後資金は約2,000万円ということになりますので、老後2,000万円問題ではありませんが、ゆとりある老後を送るには、退職金プラス500~1,000万円は最低限確保したいところです。
そのためにイデコは自衛官の方にとって最善の積立方法と言えます。
イデコは極力早くから始められることをお勧めしますが、仮に50歳を過ぎている方でも加入する意味はあります。
掛金を拠出できる期間はイデコでは60歳迄ですが、たとえ数年間でも加入することでの一定の効果が期待出来ます。
まだ加入をされていない方は、これを機に加入を検討してみてはいかがでしょうか? |
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